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「もうダメかもしれない・・・」
僕がこの言葉を発したのは、今年9月のベトナム中部取材を終え、サイゴンに戻る夜行バスの中だった。 サイゴンから中部クアンガイ省へは片道約14時間の鉄道を使い、その南に位置するビンディン省へ3時間半、そこからカンホア省ニャチャンへも移動の際、鉄道を利用した。 取材の最終日、ベトナム人たちの新婚旅行先で有名なニャチャンからサイゴンへ戻る約10時間は、スリーピングバスを使うことにした。 僕がスリーピングバスを利用したのは初めてだった。 問題は、そのスリーピングバスで起きた。 僕たちは夜8時に集合し、バスに乗る前、乗務員に通訳が確認した。 「サイゴンまでに何回か止まりますか?」 「2回か3回休憩しますよ」 出発は8時半。 とりあえず僕はトイレで用を済ませた。 僕たちはバスに乗る前に大きな荷物は預けた。 そのとき、通訳が持っていた黒い袋を乗務員が「何か?」と聞いた。 通訳は、「市場で買ったイカの干物」だと答えた。 すると乗務員は、「それは預けなさい」と言う。 通訳は怒り、「食べ物を預け荷物に出来るわけないだろう」と答える。 乗務員は言う。 「バスの中が『イカ臭く』なるじゃないか」 僕は大声で笑った。 <参考:精液ってイカ臭いんですか?> http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1208074.html?check_ok=1 結局、通訳はしぶしぶ自分のバックに干しイカを詰め込み乗車した。 問題はそこじゃなかった。 笑いをこらえながら僕もバスに乗り、バスは発車した。 出発して約2時間半、僕は無性におしっこがしたくなった。 スリーピングバスの最後部の上段で横になっているため、悪路のベトナムでは揺れをまともに感じる。 ジャンプして落ちる瞬間の響きは膀胱に良くない。 時計を見ると11時前。 「確か『2度か3度休憩をする』と言っていた」と思い出し、計算をしてみる。 「10時間で休憩2度なら3時間半に一度くらいか? 3度なら2時間半に一度か?」と・・・。 出発が8時半。 ということは・・・。 そろそろ一度目の休憩があってもいいころか・・・。 と、いろんなことを考えていると、アシスタントをしてくれた女性もどうやらトイレに行きたい模様でいた。 「ちょっと前まで行ってドライバーにいつ休憩か聞いてきて」と彼女に頼んでみる。 彼女はぴょこっと起き上がり聞いてきた。 「彼、英語分からないみたいです(笑)。『まもなく』って言っている気はしますが」 「まもなく」とはどのくらいなのか? 問題はそこにある。 1分でもまもなく、5分でも。もしかしたら30分かも。 しばらくして、仕方なく聞きに行く。 ドライバーはなにやら機嫌が悪い。 やはり女性に優しいベトナム人。 おっさんの僕が「いつ休憩なのか」なんて聞いてもろくに相手にしてくれない。 ベトナム語で『もうすぐ』とだけ言い、手で戻れと合図する。 仕方なくシートに戻る。 しかし、やばい。 一度、力を抜いてみる。 大きな深呼吸をしてみる。 震えがくる。 「もうダメかもしれない・・・」 思わず発してしまった。 ドライバーの元に戻り、体を震わせ訴える。 「おしっこがしたいんだ! 止めてくれ」 すると3分後くらいにバスはパーキングに入った。 なんとか間に合った。 用をたしていると、僕のシートの下で寝ていたベトナム人男性が、トイレの横に並び「バスに乗る前に小便くらい行っておけ!」と怒る。 僕は返した。 「だから行ったって・・・」 長距離バスに乗る前には、必ずトイレに行くことをお勧めします。 あと、イカは市場で買わないほうがいいかもしれません(笑)。 ニャチャンの朝日。この夜、おしっこ事件に見舞われる(笑)
by yasumu43jp
| 2009-09-18 00:34
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